2017年05月31日更新

【QOL(生活の質)】認知症がん患者さんのケア

高齢のがん患者さんの中には、認知症を併発しているケースが少なくありません。認知症を抱えることで、がん治療や日常生活にさまざまな支障が生じる可能性があります。こうした患者さんを支えるために必要な視点や具体的なサポート方法について解説します。

認知症とがんを併発する高齢者が増加中

超高齢社会の日本では認知症の方は増加しています。一方で、日本人の2人に1人ががんを経験する時代です。このことから、認知症を抱える高齢のがん患者さんは今後ますます増加すると考えられます。

認知症患者さんは理解力や判断力が低下するため、治療方針の決定や治療中のサポートが不可欠です。特に、外来で抗がん剤治療を受ける場合には、通院や副作用対策についても手厚い支援が求められます。

患者さんの「生き方」を尊重した支援

がん治療においては、「積極的な治療を行うのか」「痛みを抑えて穏やかに過ごすのか」という重要な選択を迫られます。この選択は、患者さんの「生き方」に直結するため、本人の意思を尊重することが最も大切です。

しかし、認知症の進行によって患者さんの意思確認が難しくなる場合もあります。軽度認知症の場合は、簡単な言葉や図解を用いて説明を繰り返し行うことで、意思決定を支援できます。選択肢を二つに絞り、「はい」「いいえ」で答えやすい質問を心がけることも効果的です。

認知症が進行した場合には、家族が代わりに意思決定を行うケースも出てきます。その際は、患者さんが以前話していたことやメモ、周囲の証言などを参考にし、できる限り本人の意思に沿った選択をすることが重要です。

服薬管理と副作用ケアの工夫

外来通院で治療を受ける場合、服薬管理は治療効果を左右する重要なポイントです。認知症の影響で服薬を忘れたり、指示通りに服用できなかったりすると、治療の効果が期待できなくなります。

確実な服薬のためには、次のような工夫が有効です。

  • 薬を一包化して同じタイミングで服用できるようにする
  • 服薬ボックスやカレンダーを使用し、視覚的に確認できるようにする
  • 訪問介護の際に服薬確認を行う

さらに、在宅療養で通院が困難な場合は、在宅患者訪問薬剤管理指導という医療保険制度を利用する方法もあります。この制度を使えば、薬剤師が自宅を訪問し、服薬状況や副作用の有無を確認し、必要な指導を行った上で医師に報告します。

緊急時に備えた体制づくり

認知症患者さんは、副作用や体調変化を自分で正確に伝えることが難しい場合があり、緊急時の対応方法も重要な課題です。家族や周囲の人に求められることは…

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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認知症を伴うがん患者さんのケアでは、意思決定支援、服薬管理、緊急時対応など、周囲の理解と工夫が欠かせません。記事の続きとより詳しい全文は、こちらからご覧ください。

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