認知症ケアの「ユマニチュード」とは?自治体や施設でも取り入れられています
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近年、認知症ケアの新たな技法として注目を集めている「ユマニチュード」。フランスで生まれたこの技法は、単なる介護の手法ではなく、「人間らしさを取り戻す」ことを目的としたコミュニケーション技術です。介護する側・される側の双方の負担を軽減し、より良い関係を築くための方法として、多くの自治体や施設が注目しています。この記事では、ユマニチュードの基本と、病院や介護施設、自治体での取り組みについて紹介します。
ユマニチュードとは?4つの柱と5つのステップ
ユマニチュードは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱を中心に構成されています。これらを通じて「あなたを大切に思っている」と相手に伝え、信頼関係を築くことを目的としています。
- 「見る」:相手の目の高さに合わせて、近くから正面でアイコンタクトを取ることで、親しみや誠実さを伝えます。
- 「話す」:穏やかで低めの声で、ポジティブな言葉を選びます。反応がない場合は「温かいタオルを持ってきましたね」など実況中継する「オートフィードバック」を活用します。
- 「触れる」:つかむのではなく、広い面積で優しく触れ、安心感を与えます。
- 「立つ」:立つことで生理機能が保たれ、寝たきりを防ぎます。1日20分立つ時間を確保することで、身体機能の維持を目指します。
また、ユマニチュードでは、ケアを一連の流れとして行う「5つのステップ」も重要です。
ステップ1 出会いの準備:「入りますね」と声をかける
ステップ2 ケアの準備:「食事の時間ですよ」と伝え、同意を得る
ステップ3 知覚の連結:ケア中も話し続け、アイコンタクトを取る
ステップ4 感情の固定:「気持ちよかったですね」と共感を示す
ステップ5 再会の約束:「また来ますね」と安心感を与える
これらの手法を実践することで、認知症の方の不安や抵抗感を減らし、介護をよりスムーズに行うことができます。
病院・介護施設でのユマニチュード導入
ユマニチュードは、さまざまな病院や介護施設で導入され始めています。日本ユマニチュード学会では、医療・介護従事者向けの講演会や研修を開催し、実践の機会を提供。現場では、プロジェクトチームを発足し、スタッフがユマニチュードの技術を学びながら実践しています。
介護付有料老人ホーム「フェリオ百道」では、スタッフが食事介助時に「目を合わせる」「優しく触れる」「穏やかに話す」など具体的な行動指針を設け、ケアの質を高めています。「ケアをするのではなく、あなたに会いに来た」と伝えることを重視し、入居者との信頼関係を築くことを目的としています。実際に、認知症の方が穏やかに過ごせるようになった、介護がスムーズになったという成果が報告されています。
さらにユマニチュードに注目する自治体も。福岡県福岡市では…
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介護を受ける方が尊厳を持った生活を送ることを支援するコミュニケーションの技術、ユマニチュード。より詳しい情報と記事の続きはこちらをご覧ください。