歯を磨くだけじゃない!シニアのための「口腔ケア」の本質を知ろう。
サイト

年齢を重ねると、口腔内の環境は大きく変化します。歯が抜けたり、唾液の分泌が減少したりすることで、食事や会話に支障をきたし、生活の質(QOL)にも影響を与えます。
「オーラルフレイル(口の衰え)」は要介護の入口とも言われており、口腔ケアは健康維持に欠かせません。今回は、高齢者の口の機能を守るためのケアのポイントについて、専門家の視点から解説します。
口の役割と健康への影響
人間の口の動きには複雑なメカニズムが関わっています。発声は、声帯の振動により生じた声を、唇や舌、顎などの発語器官を動かすことで言葉に変換します。しっかり機能しないと、呂律が回らなくなったり、言葉が不明瞭になったりします。
「食べる」という行為も、単に食べ物を口に入れるだけではなく、目で食べ物を認識し、口へ運び、歯で咀嚼し、唾液と混ぜながら舌で喉へ送り込みます。唾液の分泌が減ると、食べ物の消化がスムーズに進まず、飲み込みづらさ(嚥下障害)を引き起こすこともあります。さらに、口内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなり、歯周病や誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
高齢者の口内環境とケアのポイント
口腔ケアは、どの年代の人にとっても重要ですが、高齢者の口腔環境には、加齢による特有の変化がみられます。適切なケアを行うために、以下の点を押さえておきましょう。
口の乾燥
加齢や薬の副作用、唾液腺の機能低下により、唾液の分泌が減少し、口内が乾燥しやすくなります。口の中が乾くと、自浄作用が低下し、汚れがたまりやすくなるだけでなく、飲み込みづらさや話しづらさの原因にもなります。
対策:
- こまめに水分補給をする
- 唾液腺を刺激するマッサージを行う
- 口をよく動かす(会話や歌を歌う)
- 口の保湿剤(ジェル・スプレー)を活用する
義歯・インプラントの管理
入れ歯やインプラント、ブリッジなどを使用している場合、汚れが溜まりやすくなり、炎症の原因になります。特に、義歯の手入れを怠ると細菌が繁殖し、口臭や歯周病のリスクが高まります。
対策:
- 義歯専用のブラシでしっかり清掃する
- 毎日の洗浄剤による除菌を習慣化する
- 定期的に歯科検診を受け、メンテナンスを行う
歯肉の退縮
加齢や歯周病、過度な歯磨きの影響で歯茎が下がり、歯の根が露出しやすくなります。これにより、知覚過敏や虫歯のリスクが高まります。
対策:
- 力を入れすぎず、やさしくブラッシングする
- 歯科医師・歯科衛生士の指導を受け、正しいケアを学ぶ
- 歯茎をマッサージし、血流を促進する
舌や上あごのケア
歯だけでなく、舌や上あごにも汚れが溜まることがあります。特に舌の汚れ(舌苔)が多くなると、口臭の原因になることも。
対策:
- 舌ブラシやスポンジブラシで優しく清掃する
- うがいをこまめに行い、口内を清潔に保つ
- 食事の際によく噛むことで、舌の動きを活性化する
口腔ケアグッズの選び方
適切な口腔ケアのためには、自分に合ったケア用品を選ぶことが重要です。多くの製品が市販されていますが、特に高齢者の口腔ケア製品の選び方のポイントは…
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
チェック
口の健康を守ることは、食べる楽しみを維持し、会話を楽しみ、全身の健康を支える重要な要素です。より詳しい情報と記事の続きはこちらをご覧ください。