続編:老人ホームでのリハビリとは?-理学療法士(PT)の役割-
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老人ホームにおけるリハビリは、病院でのリハビリとは異なり、日常生活の質を維持・向上させることを目的としていることを、前回のコラム「老人ホームでのリハビリとは?-理学療法士(PT)の役割-」(※内部リンク設置)でお話しました。その中でも、専門職として高齢者の機能回復を支援するのが「理学療法士(PT)」です。今回は、老人ホームにおける理学療法士の役割と実際のリハビリ内容について詳しく解説します。
理学療法士とは?
理学療法士(PT:Physical Therapist)は、国家資格を持つ医療専門職であり、医師の指示のもと、運動療法や物理療法を用いて、基本動作(座る・立つ・歩くなど)の回復・維持を支援します。リハビリを通じて、高齢者の身体機能を最大限に引き出し、自立した生活を送るためのサポートを行います。
理学療法士の活躍の場は多岐にわたり、以下のような施設で勤務することが一般的です。
- 病院・診療所
- 介護保険サービス(通所・訪問リハビリなど)
- 介護老人保健施設(老健)・有料老人ホーム
- 障がい者福祉施設
- 教育・研究機関
特に老人ホームでは、「機能訓練指導員」として在籍し、入居者の個別プログラムを作成しながらリハビリを実施する役割を担っています。
老人ホームでの理学療法士の役割
老人ホームにおけるリハビリは、入居者の生活機能を改善・維持することが目的です。そのため、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成したケアプランをもとにそれぞれの入居者に適した機能訓練を行います。中でも理学療法士は、高齢者の身体機能や運動能力を向上させるためのプログラムを計画立案し、実施することができます。
■理学療法士が提供する機能訓練(リハビリ)の例
- 筋力訓練(下肢筋力向上トレーニングなど)
- 関節可動域訓練(拘縮予防のためのストレッチなど)
- バランス訓練(転倒防止のための立位保持トレーニング)
- 姿勢改善訓練(猫背や円背の改善)
- 歩行訓練(平行棒や歩行補助具を用いた歩行練習)
- 日常生活活動の訓練(着替えや食事動作のサポート)
- 福祉用具の提案(杖や歩行器の選定・使用指導)
施設によっては、常勤の理学療法士が在籍し、入居者一人ひとりに合わせたオーダーメイドのプログラムを提供している場合もあります。
例えば、介護付有料老人ホームで大腿骨頚部骨折を経験し、自宅での生活が困難となった入居者に対しては、以下のようなプロセスで支援が行われます。
- 入院先の医師・理学療法士と情報共有し、入居者の現状を把握。
- 入居者本人の「歩きたい」という希望をもとに、身体機能を評価。
- ケアマネジャーや介護職と相談しながら、具体的なリハビリ計画を策定。
- 歩行訓練や筋力強化トレーニングを実施し、日常生活での自立をサポート。
- 歩行補助具(杖・歩行器など)の選定や導入を行い、安全な移動を支援。
このように、理学療法士が関わることで、入居者の身体機能の向上だけでなく、「できること」を増やし、生活の質を高めることが可能になります。
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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単なる機能回復だけでなく、入居者の「その人らしい生活」を支えているのがこうした専門職です。記事の続き、具体的な事例の全文については、こちらをご覧ください。