初めての介護付有料老人ホーム選び。費用の違いから見る最適な選択とは？～前編～

介護付有料老人ホームを検討し始めた際、多くの方が直面するのが「費用の分かりにくさ」です。入居時に必要な費用や毎月の支払いなど、運営会社によって呼び名が異なり、金額にも大きな差があります。ここでは、介護付有料老人ホームの費用の基本について解説します。

※ここでの「施設」「老人ホーム」「ホーム」は、介護付有料老人ホームを指します。

介護付有料老人ホームの費用の基本構造

「介護付有料老人ホーム＝高額」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、入居金0円の施設から、数千万円～億を超える高級ホームまで、その幅はさまざまです。ただし、費用の基本的な内訳は共通しており、大きく分けると以下のようになります。

• 入居時の費用：前払金（入居金、入居一時金など）
• 毎月の費用（管理費、食費、上乗せ介護費など）
• その他の費用（介護保険自己負担分、医療費など）

入居時に必要な「前払金」とは？

入居時に一括で支払う「前払金」は、実質的には家賃にあたる費用です。前払金、入居金、入居一時金などと呼ばれますが、「終身にわたって居住することを前提に支払う家賃」のことです。これには、入居する居室や共用スペースを利用するための費用が含まれています。多くのホームでは、この家賃部分のみを前払いし、それ以外の費用は毎月支払う形が一般的です。

前払金の特徴として、「想定居住期間分の家賃」 と 「それを超えた場合の家賃」 という考え方があります。前払いすることで月々の負担を軽減でき、長期間住み続けても追加の家賃が発生しないケースが多いため、長期入居が見込まれる方にとっては経済的メリットが大きいでしょう。また、一定期間内に退去する場合は、契約に基づいて未償却分が返還されます。

一方で、「入居時の一括払いが難しい」「短期間の入居を想定している」場合は、月払いプラン を選択するのも一つの方法です。入居時に一括で支払う費用が0円としている施設の場合、「月払い」の方法が設定されています。一括払いと月払いのどちらが適しているかは、ご自身の健康状態や資金計画を踏まえて判断することが大切です。

知っておきたい「償却期間」と「初期償却」

前払金には「償却期間」と「初期償却」という概念があり、これらはホームごとに設定されています。契約時に十分な確認が必要です。

償却期間とは？

償却期間とは、ホームが入居者の平均余命などをもとに設定する「想定居住期間」です。多くのホームでは 5～7年（65歳などの若い入居者では14年など）とされています。前払金はこの期間にわたり、毎月一定額ずつ減額（償却）される仕組みです。

初期償却とは？

初期償却とは、前払金のうち、入居期間に関わらず返金されない部分を指します。これは、施設が「想定居住期間を超えた場合の家賃」として設定するものです。

具体的に金額例で見てみると…