ポジティブな感情を引き出す、老人ホームの園芸療法。
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植物に触れることで心が癒される——そんな経験はありませんか?
「園芸療法」は、植物を通じて身体的・精神的な健康を促し、生活の質(QOL)を向上させる療法です。特に老人ホームでは、日常にリズムをもたらし、心を前向きにする効果が期待されています。園芸療法に関わる専門家の話をもとに、その魅力と具体的な効果を紹介します。
園芸療法とは?園芸との違い
園芸療法は、五感を刺激しながら自然に触れることで、心と体の健康を支える療法です。単なる趣味の園芸とは異なり、「植物と関わることで、ストレスの軽減や生活意欲の向上を図る」ことを目的としています。
たとえば、土を耕し、種をまき、育て、収穫する一連の作業には、適度な運動や達成感が伴います。また、共同作業の中で役割が生まれ、人とのつながりを感じる機会にもなります。こうした体験が、心の安定や自尊心の向上につながるのです。
園芸療法がもたらす3つの効果
生活リズムの改善と心の充実
「朝、植物に水をあげる」「育った野菜を収穫する」といった習慣が、日常生活のリズムを整える手助けになります。太陽の下で作業をすることで、夜はぐっすり眠れ、食事もおいしく感じられるようになるでしょう。
また、花や野菜の成長を見守ることは、「次はどんな花が咲くかな?」と未来への期待感を生み、日々に楽しみをもたらします。
リハビリ効果と運動機能の向上
園芸作業には、リハビリ要素が自然に組み込まれています。たとえば、
- 種をつまんで植える → 指先の巧緻性(器用さ)を高める
- ハサミで葉を整える → 道具を使う訓練になる
- 土を掘り起こす → 腕や肩の運動になる
「リハビリのための運動」は気が進まなくても、植物に関わる作業なら、気づけば夢中になって体を動かしていた、ということも少なくありません。
ポジティブな感情を引き出す
園芸療法の大きな魅力は、心の変化を生むことです。
「リハビリは面倒だけど、花を見るためなら庭に出る」という方もいます。植物に触れることが動機となり、外に出る習慣ができると、日常生活動作(ADL)の自立度も向上します。
また、認知症の方など、感情表現が難しい人でも、花を見て「きれい」と感じることから会話が生まれることもあります。「この花の名前は?」という小さな疑問が、思考を活性化させるきっかけになるのです。
このように、園芸療法はただ植物を育てるだけではなく、心と体を健やかに整える力を持っています。入居者の方々が「もう一度、自分らしく生きる」きっかけの一助となりえます。
では、実際に園芸療法を取り入れている老人ホームの事例は…?
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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記事全文では、実際に園芸療法を取り入れている老人ホームの取り組み事例が紹介されています。記事の続きとより詳しい情報はこちらをご覧ください。