老人ホームでのリハビリとは？病院でのリハビリとの違い。

年齢を重ねると、「足腰が弱くなり、一人暮らしが不安」「外出の機会が減り、人と話すのが億劫」といった悩みが増えてきます。しかし、高齢者でも適切なリハビリを行えば、身体機能の維持・向上が可能です。実際に、老人ホームで適切な機能訓練を受け、歩行が難しかった方が数年後には自力でトイレに行けるようになった例もあります。

では、病院のリハビリと老人ホームでのリハビリはどのように違うのでしょうか？また、老人ホームではどのようなリハビリが行われているのでしょうか？骨折を機にお母様の入居を検討しているAさんと、機能訓練指導員（理学療法士）のやりとりを見ていきましょう。

病院のリハビリと老人ホームのリハビリの違い

―Aさんの質問―
母が骨折で入院しました。退院後に老人ホームへ入居した場合、病院のようなリハビリは受けられますか？

―機能訓練指導員―
老人ホームでもリハビリを続けることはできますが、病院とは目的や方法が異なります。病院のリハビリは、ケガなどをした直後から回復期に「改善・向上」を目指し、老人ホームのリハビリは生活の中での「維持と生活の質向上」を目指します。

病院のリハビリ	老人ホームのリハビリ（機能訓練）
急性期・回復期を対象 医師の指示のもと、理学療法士や作業療法士が担当 身体機能や日常生活動作（ADL）の改善・向上が目的	生活期（維持期）を対象 機能訓練指導員が中心となり、介護スタッフ・看護師と連携 身体機能の維持と生活の質（QOL）の向上が目的

病院でのリハビリは、医師の指示のもとで、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がリハビリを担当して行います。一方、老人ホームでは、機能訓練指導員がケアマネジャーの作成したケアプランに基づき、介護スタッフや看護師など施設スタッフ全員で、日常生活を通して行います。

老人ホームでのリハビリは、歩いている人は歩き続けられるように、トイレで排泄できる人はトイレで排泄し続けられるように、ということです。

老人ホームで行われるリハビリとは？

―Aさんの質問―
では、理学療法士さんなど専門職による個別のリハビリはないということでしょうか？

―機能訓練指導員―
実は、老人ホームで行われるリハビリは「機能訓練」と呼ばれます。ただ、一般的に「リハビリ」のほうが馴染みがあるので、ここではその表現を使っています。

老人ホームに所属する機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの資格を有した、「日常生活を送るうえで必要な生活機能の改善または維持」を目的としたリハビリが施設で提供されるよう、指導する人のことを指します。

最近では、個別機能訓練計画を立てて、個別にリハビリを実施する老人ホームも増えていたり、

外部の訪問リハビリサービスを利用できるケースもあり、ニーズに合わせたリハビリの選択が可能です。

リハビリとは、「その人らしい生活を送る」ためのもの

―Aさんの質問―
母は杖を使ってゆっくりしか歩けませんが、前のように歩けるようになりますか？

機能訓練指導員の回答は…