高齢者の「食が細い」に要注意。食事を意識して「フレイル予防」を。

年齢を重ねると食欲が減退するのは珍しいことではありませんが、この「食が細い」状態が高齢の方の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があることをご存じでしょうか？

この背後には、加齢による心身の活力低下「フレイル」が潜んでいる場合があります。フレイルは、放置すると自立した生活が難しくなる一方で、早い段階で対処すれば改善が可能です。

フレイルとは何か？食欲低下がもたらす悪循環

フレイルとは、健康と要介護状態の中間に位置する段階で、低栄養や運動不足がその原因のひとつとされています。特に、高齢者の食欲低下は、筋肉量の減少を引き起こす「サルコペニア」につながることがあり、体力や活動量の低下を招きます。

この負の連鎖を放置すると転倒や骨折のリスクが高まり、最終的には要介護状態に至る可能性も。では、どうすればこの悪循環を断ち切ることができるのでしょうか？

フレイル予防の鍵は「たんぱく質」にあり

フレイル予防において特に注目すべきなのが、日々の食事でのたんぱく質摂取です。日本人の高齢者におけるたんぱく質の目標摂取量は、実は若年層と同等です。これを満たすことが筋肉維持に不可欠です。しかし、高齢者の食事では、たんぱく質摂取が不足しがちであるため、意識的な工夫が求められます。

例えば、朝食にヨーグルトやハムを加える、味噌汁に豚肉を入れて豚汁にアレンジするなど、普段の食事に少し手を加えるだけで簡単にたんぱく質を補うことが可能です。

フレイル予防食の実践例とその効果

実際に、介護施設などではフレイル予防を目的としたメニューが採用され、たんぱく質やビタミンDの豊富な食事を提供することで、入居者の体調や活動量の改善が見られています。このような具体例は、家庭でも取り入れられるヒントを与えてくれます。

フレイル予防には、適切な食事が何より重要です。高齢だから「食が細い」のは仕方ないとそのままにせず、身近な工夫から改善を始めてみませんか？